2012年1月25日水曜日

ヨナタンとマヌエラの話から考える「移動における環境負荷」



ルール地方、オーバーハウゼンに住む私の元に、1通の手紙が届く。差出人はヨナタン。スウェーデン南部、スコーネ地方のルンドに住む学生である。そのヨナタン、手紙には3ヶ月間インターンシップをしに、ロンドンへ行くと書いてある。その行く途中に、私の元に寄ってくれると言うのだ。

日が迫っているのでメールで確認すると、ヨナタンの頭の中の旅程はこうだった。ルンドを出発し、まずベルリンへ、そこから私の住むオーバーハウゼン、共通の友人がいるテュービンゲン、そしてブリュッセル経由でロンドンへ、全行程10日ほどの鉄道の旅。

ヨナタンにはマヌエラという彼女がいる。彼らの微笑ましい関係を目にしたことがある私は訊いてみた。マヌエラはヨナタンがロンドンにいるうちに遊びに来たりする?と。するとヨナタンは言った。しない。どうして?飛行機を使いたくないから。

ここはヨーロッパ、魅力的な都市がたくさんある。飛行機、バス、鉄道を利用し、安価に短時間でアクセスすることが可能だ。もし自分の身近な人、友人がそれらの街に滞在することになれば、それをいいことに観光も兼ねて訪ねに行こうというアイデアが浮かぶ人は多いのではないだろうか。ましてや彼氏彼女。だが、彼らの場合はお互いにそれを諦めた。飛行機を使いたくないという理由で。

彼らの図式はこうだ。飛行機の利用=環境負荷のかかる移動手段の利用。時間を捻出できたヨナタンの場合、鉄道という代替案で移動することができる。マヌエラはそれができない、よって飛行機を利用するわけではなく、スウェーデンで待つということになった。

飛行機の利用、果たしてこれにどれだけの環境負荷がかかっているのだろうか。
日本の運輸において、鉄道と比較した場合、飛行機の二酸化炭素排出量は約6倍、バスの約2倍環境負荷がかかる。また、ヒトの移動による二酸化炭素排出量は、物流と比べて2対3と大きい。自分が移動することは、二酸化炭素を出しているということを、再認識するべきではないだろうか。

ちなみにヨナタン、インターンシップを終え、帰りはフェリーでイギリスからスウェーデンに帰国した。彼のお勧めは景色の楽しめる鉄道だそうだ。欧州滞在者なら彼のようにInterRailパスを、旅行者ならEurailパスを事前に日本で購入し、鉄道の旅をすることができる。

この話がきっかけで、飛行機の環境に対する負荷を知らない人が意外と多いことを知り、ショックを受け、今回記事を書かせて頂くことになった。日本ードイツ間を不必要に飛行機で移動をする人は少ないと思うが、長距離を飛行機で移動し、ドイツに滞在している私たちは、まず自分たちがかけている環境負荷について考える必要があると思う。ちなみに私の理想はシベリア鉄道とフェリーでの日独往復。ロシアビザ手配の必要なくなり、シベリア鉄道が高速化する日が来ることを願う。

(参考:http://eco.jr-central.co.jp/ecoshuccho/)30.11.11



※この文章はドイツ、フライブルクにて活動を行っているグループ"Öko-Freiwillig"が発行する「エコフラ新聞」に寄稿したものです。
新聞自体も載せたいのですが、とりあえずは自分が書いた記事を。

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