2010年11月17日水曜日

パリからドイツに帰って来た時に感じる落胆 ⑤


さて、ここからが本題。
伯母&伯父に見送られて乗車した、Thalysの内装にまず思う。
「ドイツの車両ではあり得ない“色”だな」と。
ドイツだけでなく、日本でもこの色が座席シートにチョイスされることはないと思う。
Thalysはフランス、ベルギー、オランダ、ドイツ間を走る国際特急だが、
各国鉄の株式保有比率のうち、ドイツ鉄道が占める割合は10%という、走行区間に応じた少なさ。
4カ国語放送も楽しみながら、列車はパリを後にする・・・

通路を挟んで同じ列に座っている夫婦はドイツ人。
ドイツの新聞を沢山持ち込み、生活に戻る準備をしている。
約2日ぶりに聞こえてくるドイツ語の感触を確かめながら、この2ヶ国を色々と比較してみる。
(以下、仏*独の順)
好まれるフォント:流線型*角張り
好まれるめがねフレーム:丸形*四角 
手軽に食べられる食事:パニーニ*ケバブ
アルコール:ワイン*ビール
体格:男女とも割とスレンダー*男女ともに割といかつい
髪の色:ブルネット*ブロンド
身だしなみ:おされ*特に気にせず
などなど・・・

表面的に見ると、フランス的なものの方が好みだったりします。
それが明らかになった頃、ブリュッセルに到着。
同じ車両に乗り込んでくる、ドイツ人のグループが。
なんと言うか、うるさい。
グループだからなのか、なんなのか、何か少し忘れていたものを不快に感じてしまいました。


ケルン中央駅からデュッセルドルフに移動し、行列のできる人気のポメス屋さんに行ってみる。
オランダ風と称するポメスは平たく、ケチャップも多いだろうと思いながら、
結局はちょうどいいくらいに消費した。
ポメスは好きだけど、この見てくれの色気のなさは否めない。

ハロウィンの日曜日だったためか、仮装した若者たちが街をうろうろしている。
彼らの仮装、基本的に黒い。もしくは血を出している。
なんでこうワンパターンなのかと、パリならもっとバリエーションが見られるだろうにと、幻滅してしまった。
パリでそれを見たわけではないし、たまたま目に入ったのが黒かっただけかもしれないが、
オーバーハウゼンに着いてもなお、ことごとく黒く、ゴシックだった。
普段着において、フランス人は黒の使い方を知っているが、
ドイツ人はただ単に黒に逃げているようにしか見えないことが多い。
パリと比較すべきではないと思うが、
予め心得えていないと激しい落胆を味わうほど、
ここは単純に郊外で、この街に期待できることは特にない。

結果的に目を覚ますことになった、パリ滞在記でした。


2010年11月13日土曜日

パリからドイツに帰って来た時に感じる落胆 ④


ゆっくり起きる日曜日の朝。
1日半の滞在だけど、前日がなかなか盛りだくさんだったので、すでに満足気味。
こんなに欲が浅かっただろうかと、自分に驚きます。
行きたいところはほぼ行ったし、後はムール貝を食べればThalysに乗れる。
お昼まで時間があるので、大阪から来ている伯父と散歩に出ることに。


パリには何ヶ所か有名な蚤の市があるけども、最近は不況のせいか、区ごとによく蚤の市が開かれるらしい。
ちょうど家の近くの通りからサンドニの門まで市が出ていたので、なぞるように見て行くことにする。


雑貨や小物に本など、蚤の市的な物品もあれば、その大きさからかなかなか、目を引く中古の家具。
路上に持ってくる方も、買い手も大変だよなと思いつつも、素敵なものが多いので、
仮に自分がここに住んだとしたら、路上から拾うように買いたいななんて妄想を。
ヴィンテージもいいですが、こういう生活密着かつ,実用的なもののほうが好みかもと思いました。


サンドニの門。凱旋門のように開けた場所ではなく、一般的な建物に紛れてあるので、いつも少々存在に驚きます。
この南側はちょっとした娼婦街なので、昔は治安が悪いと遠ざけられました。
時間がまだあるのでオペラまでvelib'でこぎ、サンタン通りや昨日も通ったパサージュを抜けて、家に戻り
伯母も一緒に再出発。散歩の間、正確な時刻がわからず少し急いだけど、
サマータイムが10月31日になるタイミングで終わったとわかったので、時計を1時間戻しました。
短い旅の中ではとても得した気分になります。


伯父、伯母、私の3人で、在り付くムール貝の昼ごはん。
ムール貝を食べたいと思ったのは、京都で好きなイタリアンのお店で、ムール貝の美味しさを思い出したから。
昔(というのは高1の、初めてパリ=海外に来た時)、ムール貝の殻を両手に持ち、
ものすごくいい顔をした自分の写真があります。殻で身を摘んで食べるという作法が気に入ったのか、
“ムール貝”という食べたことのない、フランス的な食べ物が嬉しかったのか。
今回の滞在は、そんな昔を思い返すことが多かったです。
約10年前の記憶だけど、“Les Hallesの近くでムール貝を食べた”ということは間違っていなかった。
ただ、この日行ったそのお店はベルギーのムール貝チェーン店だったけど。


Les Hallesの北側に、ちょうどSantierから延びるマルシェの突き当たりに教会がある。
そういえば入ったことはなかったけど、きれいと聞いたので一瞬入ってみる。
なるほど確かに、観光名所になる教会ではないけれど、ステンドグラスやハイプオルガンの装備がよく、
全体的な感じが心地よかったです。天気もよかったしね。


そして急ぎ足で着いたGare du Nord。
前職柄か、伯母の移動に対する人の管理は相変わらず手厳しい。
30分以上余裕があるので、上から駅を観察する。
ちょうどモニュメントの所に、制服を着た子供と親が集合して、ユーロスターに搭乗するのを待っていた。
見るからに汚れのない子供たちと、派手ではなく身なりの感じがいい親たち。
だから何というわけではなく、ただそう思ったのだ。

⑤に続く。


2010年11月7日日曜日

パリからドイツに帰って来た時に感じる落胆 ③


夜ごはんはRestaurant Japonais "Kimura"へ。
今年の春にオープンした、伯父&伯母の「おばんざいとすし」のお店です。
久々にお惣菜が食べられることを楽しみにしていました。


開店前の店内。伯父が仕込みをしています。


カウンターにはこんな感じにおばんざいが並んでいます。
なんだかこういうものを見るだけで、テンションが上がります。


そしてどんどん出てくるおばんざい。
和食器はやはりよいですね。和食器があってこそ、
おばんざいが完成されるものな気がしました。
ひじきにお大根にわらびなど、どれも美味しいのですが、
あまり馴染みのなかったバイ貝が、お気に入りに加わることになりました。


こちらはすしとさしみ。お客さまに出す一歩手前を撮らせて頂きました。
このすし。日本でもこんな風にずらりと一直線に並んで出てきたら、
ぐっとくるものだと思うのですが、こちらだと感動ものです。
すしはパリに赴任して1ヶ月目の駐在員の方へ、
さしみは若い男の子とその祖父&祖母のテーブルへ運ばれて行きました。
後者のお客の組み合わせ、なかなか多いそうで、マンガ・アニメで日本に興味を持った孫が、
じいちゃんばあちゃんにねだって食べにくるという図式らしいです。

太巻きも食べ、お腹いっぱいでお皿拭きを手伝っているうちに、従姉妹登場。
初めてパーティに誘ってくれたので嬉しかったのですが、私には門限が定められることに。
着いたところはあるアパートの一室。ユニクロオペラ店のオープニングメーンバーとその周辺の集いでした。
だからか生まれ育ちがパリの日本人や、日本人と色んな国のハーフの子が多くて
パリの多民族ぶりを目の当たりにしました。
それが当たり前である、都会的な開けた感覚がとても心地よい。
また、なかなか大勢と挨拶で両頬にキス(bise)をしましたが、
ドイツではない習慣なので新鮮で、初対面でもなんだか親密になれた気が勝手にしてしまいました。
街によって回数が違うらしいけど、この場は2回だったな・・・
本格的に盛り上がる前に帰されてしまいましたが、
朝から行動しっぱなし+自転車こぎまくりで疲れてもいたので、若干残念なものの
それでよかったかなと思います。


おさらいがてら宣伝です。
「きむら」
38, rue Pernety 75014 Paris
昼は12:30〜14:00 夜は19:00〜22:00
月曜日と土日の昼はお休み
メトロのPernetyを出て右手の通りに見える、青い桟が目印で、隣は自転車屋さんです。
パリに来られた際は、是非とも行ってみてください。
美味しいおばんざいとすしが待っています。

④に続きます・・・




2010年11月6日土曜日

パリからドイツに帰って来た時に感じる落胆 ②


Palais Royal の工事中のストライプを見たあとは、Rivoliを渡ってルーブルへ。
地下のスタバの前にある郵便局: Le Post は、立地柄、土曜日でも開いているということで、
切手を物色しに行ったけど、そこまで購買欲をそそられるものは見つからず。
ただルーブル全般の物価の高さにびびり、すぐに地上へ戻ります。


Les Halles の無印に寄り、家を出てすぐに買ったサイドゴアブーツに疲れたので、ここからはvelib'で。
3年前よりポイントも増え、何よりドイツ語も対応になったのが良いです。
ただ機械も自転車もたまに"くせ"があるので、そこには要注意。


ぼちぼちお腹も減ったので、falafelを食べにRue des Rosiersへ。
何度か来ているけど、今までに見たこともないような人だかりが。
土曜日という理由以上に、前に並んでいた子連れのパパが言ったように、
「今日はみんなfalafelを食べる日」なんでしょう。
この店では店内でまず支払いを済ませ、外で受け取るのですが、両方合わせて1時間弱列びました。
たださすがは"マレ"。目の保養になるおされな人々が行き交うので、待ち時間も味わえます。


ピントがずれましたが、falafelです。このお茄子を含めて、もう美味しい。
ピタパンが破れて汁があふれ、少々苦労して食べましたが、それも道行く人たちにいい宣伝になったと思います。
お腹を満たしたらいよいよ左岸へ向けて出発。


もはや恒例行事とも言うべき「コンコルド攻め」


自転車走行中に写真を撮るのが実は好きです。
※もちろん安全第一※


今回のコンコルド攻めは、点数で言うと30点くらいでしょうか。
信号の付き所を把握できず、不必要な所で歩行者と化し、横目で何の問題もなく
交通の波に乗る自転車ライダーを何人も見ました。ああ悔しい。
左岸に渡るということは、前回のRivoliからシャンゼリゼにつながるコースとはわけが違います。


そしてやってきた左岸。Cafe de Floreを目指し、Boulevard Saint Germainをすいすい一直線に東へ。
右岸に滞在することの方が多かった私にとって、街路樹の雰囲気がまた新鮮で気持ちがよかったです。
初めて来てみたflore。さすがに土曜でお客でいっぱいで、一人で空いている席を確保する勇気も出ず、
ひと目見てみたいギャルソンの山下哲也さんらしき姿もなかったので、
すぐ横のfloreの雑貨屋さんを覗いて終了。
いつか堂々と鎮座して、サーブしてもらえる日を夢みています。


それから14区にできた伯父&伯母のお店を訪ねるべく、それらしき方向へ道を進める。
が、なかなかその最寄りのメトロの駅すら発見できないので、道を聞くこと2回。
最初のマダムも、2回目のマダムから広がったその辺の人たちも、とても親切に対応してくれた。
以前は地図を覚えたくてあえて道を聞かず、地図をフル活用して動いていたけど、
地図のない今回、パリの人たちの良い所に触れられてよかったです。

このお花屋さんの写真は、とてもパリらしい風景と思って撮った一枚。
主人の前で店番をするにゃんこちゃん。
また③に続きます。


2010年11月2日火曜日

パリからドイツに帰って来た時に感じる落胆 ①


「荷物を取りに行く」という名目で、初めての2日連続の休みを利用して、パリに行ってきました。


唯一無二な都市のひとつであるこの街に来たことに、特に大きく胸弾むことはなくなったけれど、
デカダンではなく単純に産業的に退廃的なドイツのある町から来た人にとっては、
後々色々な感情がのしかかって来るのです。


"GALERIE VIVIENNE"、偶然行き着いたこのパサージュには、実はゴルチエの本店がありました。


まあ、なんというか・・・


上も下も横も美しいわけで、自分もその一部になったような錯覚に陥ります。


そのすぐ南には、"PALAIS ROYAL"の北側の入り口があります。


中庭を囲んだ回廊を歩き、並々ならぬ店を横目見る。
Stella McCartneyのショーウィンドウのマネキンが、ハロウィン仕様で可愛かったです。


誰が撮っても美しく撮れる被写体がごろごろあるわけで・・・


やはりこんな風に自己満足。

こんな調子で②に続きます・・・