2011年7月10日日曜日

平和村がルール工業地帯に位置する利点


(画像はWikipediaから拝借しました)

このドイツ地図の西部、高速自動車国道:アウトバーンの路線番号が振られた青いマークが密集している地域の真ん中に、平和村はあります。密集している辺り全域がルール工業地帯であるため、おびただしい数のアウトバーンが建設されました。ちなみに北部中央のマークが集中している所がHamburg、北東部がBerlin、ルール工業地帯より少し南西にずれた所がFrankfurt、その下にMannheim、南東部がMünchenです。
年に4回、アンゴラから、アフガニスタン方面から到着するチャーター機がDüsseldorf空港に到着した後、毎回100名弱の子供の半数が、ドイツ赤十字社の救急車によって、ドイツ全土に搬送されます。自動車から排出されるCO2を考えると、それが鉄道だったらどんなにいいだろうと思うのですが、どんな病気を持っているかわからない子供を公共交通手段に乗せるわけにもいかず、重病をかかえた子供にかかる負担や、付き添う人のことを考えると、それには車の方が適していると言わざるを得なくなります。

ここの地方に住む人は、自家用車に乗ることが当たり前で、鉄道より車移動を好む人がとても多い。乗り換えが嫌とかそんな理由で、がんがんCO2を出す人たちが、ここには住んでいるのです。人口5、60万規模の街がいくつもある、人口密集地帯なので、移動手段の選択肢が多くあっていいのかもしれないけど、"アウトバーン天国"とも言われるほど、ここに住む人たちの車との親密関係はぞっとしてしまうほど深い。都市間の移動も頻繁に行われる、そんな土地柄です。

平和村に通勤する正規職員も、ほぼ皆、車通勤。場所柄、それは仕方がないのかもしれない。平和村では登録ボランティアの方が、子供を病院まで届ける運転手をしてくださる場合がよくあるが、例えばかなりここから遠い場所、HamburgとかMünchenだと、委託会社からの運転手が担当する。隣近所の街だと、登録ボランティアの方が送り届けてくださったりする。以前子供が再入院のためMaizの病院に行く予定があり、その子の出発の準備をしていたら、迎えに来たのは登録ボランティアの品のいいおばさんだった。この人が南に250kmも車を飛ばすのかと思うと驚いた。私が車を運転しないからそう思うだけかもしれないが。私はkm的感覚がないので調べてみたら、京都から浜松とちょっとその先くらいまでの距離。京都で育ったからそう思うだけかもしれないが、日本だったら主婦が子供を連れて、そんな距離を車で移動するのは想像できない。でもそんなアウトバーン網に、平和村の子供たちは支えられているのです。

でも私は働く車ならまだしも、子供が車に対して憧れを持つきっかけが沢山あることを、全く良くは思いません。子供たちに医療的援助しかしない(それ以外をする余裕がない、かつ余裕をつくらない)平和村では、それに対する教育なんてされるはずもなく、その点を私は残念に思います。"せっかくドイツに来ているのに"と。
ちなみにかつて私がいたFreiburgは、地図の一番左下から2番目の、大きめの青いマークがあるところです。通っているのは一本のみ。このアウトバーンの路線図だけ見ても、暮らしが違うことは容易に想像できます。私にとっては、いるだけでストレスになるか、幸せになるかくらいに違います。Oberhausen以外に住んでいる人からも、この街についていい意見を聞いたことがありませんが、平和村が設立されたことと、市や市営バスが積極的に協力してくれていることは、良いことに違いないと思います。

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